こんにちは。かなめです。
ここでは、ポケモンカードゲームの過去商品について紹介をしていきます。これを読めば、その商品の特徴と、代表的なカードについて知ることができます。今回は2003年に発売されたポケモンカードADVシリーズの最初の商品です。
新たなシリーズが発売されるたびに、進化を続けているポケモンカードゲームですが、今回はどのような展開になっているのでしょうか。
もし、前作のポケモンカードeシリーズが気になる人は、こちらから見ることができますよ。
商品情報
ポケモンカードADVシリーズの最初の商品は、拡張パックの他に、構築済みデッキが発売されました。新たなシリーズが始まるとき、そのシリーズからポケモンカードを始められるように、デッキの雛形となる商品が発売されるのは、定番となっています。
ちなみに、2001年頃から、ハーフデッキという通常の半分の30枚で対戦するルールが登場し、この構築済みデッキも、30枚で構成されています。
第1弾 構築済みスターター
商品名 | 第1弾 構築済みスターター 「キモリデッキ」「アチャモデッキ」「ミズゴロウデッキ」 |
発売日 | 2003年1月31日 |
発売価格 | 各900円(税別) |
封入枚数 | 構築済みデッキ(30枚)/1個 |
カード総数 | 各19種類 |
セット内容 |
構築済みデッキ(30枚)/1個 ポケモンコイン/1枚 紙製ダメージカウンター・マーカー(20個・2個)/1シート 遊びかた説明書/1冊 |
第1弾拡張パック
商品名 | 第1弾拡張パック |
発売日 | 2003年1月31日 |
発売価格 | 300円(税別) |
封入枚数 | 1パック11枚入り |
カード総数 | 55種類 |
レアリティ | ●(C) 12種類 |
◆(U) 12種類 | |
★(R) 26種類 | |
☆(R) 5種類 |
カードリスト
ポケモンカードeからポケモンカードADVへ
ポケットモンスター ルビー・サファイア発売
2002年11月21日にゲームボーイアドバンス対応ソフト「ポケットモンスター ルビー・サファイア」が発売されました。ホウエン地方が舞台となっており、登場するポケモンの多くが新しいポケモンとなっています。
ゲームボーイアドバンス用のソフトのため、ゲームボーイ用のソフトの前作「ポケットモンスター 金・銀」との通信(交換や対戦)には対応していませんでした。
しかし、ポケモンカードでは、前作のポケモンカードeシリーズからデザインの変更はあったものの、合わせて遊べる設計となっています。
ポケモンカードADVでは、ルビー・サファイアのポケモンたちが中心に登場しますが、今までの金・銀や赤・緑のポケモンを戦わせることができるカードオリジナルのゲーム環境といえるでしょう。
余談ですが、このシリーズに名づけられたADVには、アドバンスアドベンチャーという意味が込められており、ダブルミーニングになっています。ポケモンカードの商品タイトルや、カード名には、このような複数の意味が込められていることがあるので、探してみると面白いですよ。
ポケモンex(エクストラ)の登場
ポケモンカード史に残る、ゲームデザインの革命ともいえる「ポケモンex(エクストラ)」が登場しました。この特別なポケモンは、通常のポケモンと比べると、HPはワザなどが強力なステータスとなっています。その代わりに、「きぜつ」すると、相手にサイドを2枚とられてしまいます。
出典:ポケモンカード トレーナーズvol.20 P5
このルールってどこかで聞いたことありませんか?そう、2021年の現在でも、ポケモンカードでゲームの核となるルールのひとつです。
シンプルなルールでありながら、迫力のあるバトルを展開し、ゲームの流れに変化をもたらします。このルールを持つポケモンは、2003年以降も名前を変えて何度も登場し、15年以上もゲーム環境を担ってきています。
年代 | シリーズ名 | |
ポケモンex | 2003年~2006年 |
ポケモンカードゲーム ADV ポケモンカードゲーム |
伝説ポケモン | 2009年~2010年 | ポケモンカードゲーム LEGEND |
ポケモンEX | 2010年~2017年 |
ポケモンカードゲーム BW ポケモンカードゲーム XY ポケモンカードゲーム XY BREAK |
ポケモンGX | 2016年~2019年 | ポケモンカードゲーム サン&ムーン |
ポケモンV | 2019年~2021年(現在) | ポケモンカードゲーム ソード&シールド |
「ポケモンex」は、長い歴史があるポケモンカードのゲームデザインの中で、大きな発明のひとつではないでしょうか。
カードデザインの変更
ポケモンカードADVシリーズになってから、対戦に特化したカードデザインになったと感じる点が3つあります。
①eコードの廃止
ポケモンカードeシリーズでは、プレイヤーの意見を汲み取り、ポケモンカードからeコードを分離するという結論に至ったそうです。
出典:ポケモンカード トレーナーズvol.20 P5
これは、ポケモンカードゲーム開発元の株式会社クリーチャーズのディレクター赤羽卓美氏による発表です。開発元の方々が検討を重ね、我々ユーザーに対して事情を説明してくださるのは、とても嬉しいことですよね。
②図鑑要素の廃止
ADVシリーズ以前から既に廃止されていると思いきや、eシリーズでは、eコードに情報が含まれていました。そのため、完全に図鑑の情報が消えるのは、このシリーズからということになります。
③ワザのスペース拡張
前述のeコードの廃止と、図鑑などの要素が無くなり、ゲームに必要なステータスのスペースが広くなりました。カードイラストも大きくなっているのですが、3つのワザを持つポケモンも、すっきり見やすいほどに、スペースがあります。
3つ以上の能力を持つポケモンの例
今後も多彩なステータスを持つポケモンの登場を予感し、より戦略的なゲームになることが期待できました。
カードイラスト
1匹のポケモンに複数のイラスト
構築済みデッキと拡張パックを合わせると、1匹のポケモンが複数収録されているものがありました。
アチャモデッキ007/018
アチャモデッキ008/018
第1弾拡張パック 024/055
ホウエン地方で新たに発見されたポケモンたちは、全身がわかるように描かれているものが多く確認できますが、様々な場面や角度から描かれているものもあり、ポケモンの生態を垣間見ることができます。
ポケモン図鑑のテキストが無くなってしまったぶん、イラストによって新ポケモンの特徴をわかりやすく表現されているようにも思えます。
ポケモンexのイラスト
ポケモンexは、すべて3DCGで描かれていて、イラストでも通常とは異なる特別なポケモンであることが表現されています。これは後に発売される拡張パックでも同じコンセプトとなっています。
また、カードの枠も全体的にキラキラと光っていて、特別感を演出しています。
ゲームデザイン
ポケモンカード史に残るルールを持つポケモンの登場(ポケモンex)
今までのポケモンカードの対戦に、大きな変化をもたらしたのがポケモンex。強力なステータスですが、サイドを多く取られるというルールは、より戦略的でが迫力のあるバトルを味わうことができました。
このルールを持つポケモンが最初に登場したのがポケモンカードADVシリーズです。この拡張パックに登場したポケモンexには、ある特徴があります。
すべて「たねポケモン」で登場
「たねポケモン」は、デッキに入れて即戦力にしやすい特徴があります。自分のデッキに入れて、その強さを体感しやすい設計になっています。構築済みデッキを買えば、必ずポケモンexが手に入るので、誰でもこの強さを実感できるのは良いポイントです。
過去の強力なカードのリバイバル
この拡張パックや構築済みデッキで登場したポケモンexのもうひとつの特徴としては、過去に発売されたポケモンたちと似たステータスになっているところです。
そこで、このルールを持った今までのポケモンを少しだけ振り返ってみましょう。過去の公式大会で活躍したり、殿堂ポイント(制限カード)に設定されていたポケモンたちです。昔から遊んでいたプレイヤーたちにとっては、懐かしくもあり、強力なポケモンであることを認知しやすいラインナップです。
キモリデッキ 001/019
ポケモンジャングル(ポケットモンスターカードゲーム)
アチャモデッキ 001/019
化石の秘密(ポケットモンスターカードゲーム)
ミズゴロウデッキ 001/019
化石の秘密(ポケットモンスターカードゲーム)
第1弾拡張パック 023/055
拡張パック第1弾(ポケットモンスターカードゲーム)
第1弾拡張パック 026/055
プロモカード(ポケットモンスターカードゲーム)
第1弾拡張パック 030/055
拡張パック第1弾(ポケットモンスターカードゲーム)
第1弾拡張パック 036/055
拡張パック第1弾(ポケットモンスターカードゲーム)
第1弾拡張パック 046/055
金、銀、新世界へ...(ポケモンカード★neo)
ルール改正
前作のポケモンカードeシリーズまでのルールの中で、難しいルールが改正されました。
対戦準備
変更前:手札に「たねポケモン」がいなかったとき、相手は山札を2枚まで引ける。
変更後:手札に「たねポケモン」がいなかったとき、相手は山札を1枚まで引ける。
対戦の開始時の先攻プレイヤーの最初の番
変更前:自分の山札を1枚引く。
変更後:自分の山札を1枚引けない。
にげる
変更前:自分の番に何回でも使える。
変更後:自分の番に1回使える。
スタジアム
変更前:自分の番に、手札から何枚でも出せる。
変更後:自分の番に、手札から1枚出せる。
こんらん
変更前:ワザを使うとき、コインを1回投げウラなら、自分に20ダメージ。(弱点・抵抗力関係あり)
変更後:ワザを使うとき、コインを1回投げウラなら、自分にダメカンを3個のせる。
ワザの計算
変更後:
出典:ポケモンカード トレーナーズvol.20 P41
これを見て気づくことはありませんか?2021年の現在とほとんど同じルールなのです。つまり、2003年の改正から、現在に至るまで15年以上も変わらない基準がここで完成したのです。
また、この当時悪ポケモンと鋼ポケモンの主流だった特殊エネルギーの2種は、どちらもわかりやすい内容に改善されました。
以前までの効果は、使い方が難しく上級者向けという印象でしたが、より多くのプレイヤーが活躍させられる変更になっています。
悪エネルギーの変更
ポケモンカードゲームADVシリーズ
ポケモンカードゲームeシリーズ
鋼エネルギーの変更
ポケモンカードゲームADVシリーズ
ポケモンカードゲームeシリーズ
簡単で奥が深いスターター
この構築済みデッキは、歴代のスターターの中でも完成度が高い商品のひとつです。理由は4つあります。
①すぐに対戦ができる
今では当然かもしれませんが、昔はスターター商品というのは、カードがランダムに封入されており、対戦をする前にデッキを構築しなければなりませんでした。
デッキを構築することも、カードゲームの楽しみのひとつではありますが、対戦ルールを覚える前に、デッキを作るのは、初心者にとってハードルが高いと思いませんか?
しかし、今回のスターターパックに該当する商品は、完成したデッキになっています。ポケモンカードにとっては、初心者導入の新たな試みのひとつともいえます。
②弱点・抵抗力を覚えられる
同時に発売された3つのデッキ同士で対戦した場合、どのデッキと当たっても、必ず弱点・抵抗力が覚えられる設計になっています。
しかも、このデッキのポケモンが持つワザは、どれも簡単な内容なので、弱点・抵抗力の戦略が引き立ちます。この簡単だけど戦略性がある勝負が面白く、何度でも遊びたくなるのです。
③ポケモンex、トレーナーカードが入っている
このシリーズから登場したポケモンex、そして対戦において重要なサポーター、ポケモンのどうぐまで入っています。どれも使いかたが重要ですが、繰り返し遊ぶことで、プレイヤーレベルを上げることができます。
④改造の余白がある
このデッキに入っているポケモンの進化先は、拡張パックにも収録されています。つまり、パックで当てたカードをすぐにデッキに入れて改造することも可能です。
進化元のポケモンも、拡張パックでは異なるステータスで収録されています。
カードゲームを経験している人にとっては、ここまでしなくても改造くらい簡単にできる、と思うかもしれませんが、カードゲームに触れたことがない人だったらどうでしょう?初心者の導入にここまで手厚くフォローしていることは素晴らしいと思います。
強いていうならば…
この商品が30枚デッキというところが、最大の利点であり、欠点でもあると感じました。ハーフデッキなので、遊びかたを覚えるためには適していますが、60枚デッキに移行するのが難しいのです。
ハーフデッキで対戦したことがある人ならばわかると思いますが、60枚で対戦するときは戦略も異なり、デッキに投入するカードの配分も変わってきます。単純にハーフデッキを2個合わせれば完成、というわけにはいきません。
とはいえ、歴代のスターター商品を見ても、とても丁寧に作られた内容だと思います。
ポケモンカードeと混ぜて遊ぶことを前提としたゲーム設計
拡張パックのラインナップは55種であり、歴代の最初のシリーズと比較すると少なくなっています。そのうちトレーナーカードは4種となっており、シリーズ最初の商品としては、かなり少なめです。
ハーフデッキで遊ぶならば、構築済みスターターと合わせて、トレーナーの枚数は間に合っていると思いますが、60枚デッキならば、この拡張パックだけで組むのは難しいことです。
そのため、60枚デッキを組むためには、必然的にeシリーズのトレーナーカードに頼ることになります。
これが意図的なラインナップだとしたら、新規のユーザーはこのシリーズのみで組めるハーフデッキ、継続ユーザーはeシリーズも組み合わせた60枚デッキ、という構造になるような商品展開だったのかもしれません。
原作を再現した新ルール
「ポケットモンスター ルビー・サファイア」では、ダブルバトルという新しいバトルが追加されました。同じくポケモンカードでも、このルールは採用されました。
出典:ポケモンカード トレーナーズvol.20 P42
バトルポケモンが2匹になり、ベンチは4匹まで。自分の番には、どちらか片方のバトルポケモンがワザを使い、相手のバトルポケモンのうち1匹を選んで攻撃します。
この対戦専用に、細かいルールもしっかり整備されています。
出典:ポケモンカード トレーナーズvol.20 P42、P43
しかし、このルールは流行しませんでした…。ルールは整備されているし、面白いのですが何故流行らなかったのでしょう…。
ここからは私の予測でしかありませんが、大きく2つの理由ではないかと考えています。
①対戦フォーマット過多
ハーフデッキ、60枚スタンダード、60枚ダブルバトルをすべて遊ぶ場合、それぞれに対応したデッキを3つ用意しなければなりません。
特に60枚デッキを複数用意するというのは、資産的にも負担は大きいです。そのため、ダブルバトル用のデッキにまで手が回るプレイヤーが少なかったのではないでしょうか。
②ダブルバトルのメリットが薄い
ダブルバトルで有利なワザなどはありましたが、オマケ程度の性能でした。このルールに特化した能力やワザを持ったポケモンが登場していれば、プレイ人口の増加に繋がっていたのではないかと思います。
しかし、この先の商品でも、活躍できそうなほどのステータスを持ったポケモンが少なかったのが残念です。(過去には公式大会も開催されたこともあるのですが…)
デッキバリエーション
この時代は、ハーフデッキでの対戦も賑わっていましたが、より戦略的な60枚デッキでもデッキのバリエーションは充実していました。
前述のように、ポケモンカードeシリーズも合わさった環境であり、このシリーズのカードとのコンボも強力です。
ADVシリーズのカード同士で組み合わせたコンボもありましたが、この時点では、最大限の活躍をしていません。その話については、シリーズを追うごとに語っていきたいと思います。
eシリーズとの組み合わせ
ミュウツーex+ジャグラー
《ジャグラー》でトラッシュしたエネルギーを「エネルギーきゅうしゅう」でつけて素早く攻撃
エネコロロ+預言者
《預言者》で山札においたカードを「エナジードロー」ですぐに持ってくる
ジュカイン+ポケモンナース
草エネルギーを自在に動かせば《ポケモンナース》のデメリット効果を受けない
ケッキング+ブーストエネルギー
「トランスシェイド」と《ブーストエネルギー》で「はめつのいちげき」の4個のエネルギーをいっきに満たす
ADVシリーズでの組み合わせ
バシャーモ+エネコロロ
「エナジードロー」でトラッシュした炎エネルギーを「たきつける」で再利用
ラグラージ+ホエルオー
必要なエネルギーが多いワザを「よびみず」で補助
まとめ
ポケモンカードADVシリーズは、「ポケットモンスター ルビー・サファイア」で登場したポケモンが中心の商品となっています。
前作にあたるポケモンカードeシリーズから、カードのデザインが一新され、対戦に特化した設計となっていました。図鑑の要素は消え、ワザのスペースが大きくなっています。
ゲームのデザインでは、新たに登場したポケモンexが今までのゲーム環境に衝撃を与えます。また、基本ルールの中では、一部難しかった内容が改正され、より解りやすいゲームとなりました。
これらの設計は、以降15年以上も受け継がれ、ポケモンカードのゲームの基礎がここで確立されたといえます。
初心者にとっては、導入を手厚くフォローする構築済みデッキがあり、繰り返し遊ぶことでルールと戦略を覚えることができました。
このようなゲーム環境の中で、ハーフデッキ、60枚スタンダードと、新たに60枚のダブルバトルという対戦形式が追加され、プレイヤーにとっては遊びきれないほどの楽しみ方がありました。
ダブルバトルに関しては、改善の余地を残したまま、のちに終息する形となってしまいますが、原作のルールを再現した面白い試みだったと感じます。
前作までのポケモンカードeシリーズから、さらに戦略的に楽しめるポケモンカードゲームADVはいかがだったでしょうか。ADV2弾以降も驚くような展開が待っていますが今回はここまでです。
それでは皆さん、良いポケモンカードライフを。