こんにちは。かなめです。
ここでは、ポケモンカードゲームの過去商品について紹介をしていきます。
これを読めば、その商品の特徴と、代表的なカードについて知ることができます。今回は2001年に発売されたポケモンカードeシリーズの最初の商品についてです。
これが発売される前にはポケモンカード★VS、ポケモンカード★Webという2つの商品がありましたが、どちらも単発の商品だったため、ここではポケモンカードeシリーズをポケモンカード★neoの次のシリーズとして紹介していきます。
前作のポケモンカード★neoシリーズは、こちらから見ることもできますよ。
商品情報
ポケモンカードeシリーズの最初には、拡張パックとともに、スターターパックが発売されました。この商品は、カード30枚で構成された商品で、この時期はハーフデッキという通常の半分の枚数で対戦するルールもありました。(サイドの枚数も3枚となる)
スターターパックは、メインの2進化ポケモンが6種あり、1パック買うと2進化ポケモンがランダムで1種と、その進化ラインが封入されていました。
メインの2進化ラインとトレーナーカードはスターター限定で、それ以外は第1弾基本拡張パックの●(C)のカードで構成されています。
スターターパック
商品名 | スターターパック |
発売日 | 2001年12月1日 |
発売価格 | 900円(税別) |
封入枚数 | 1パック30枚入り |
カード総数 | 29種類(スターターパック封入のカードのみ) |
セット内容 |
ハーフデッキ(カード30枚)/1個 ダメージカウンター・マーカー(20個・2個)/1シート ポケモンコイン/1枚 遊びかた説明書/1冊 ※デッキの内容はパックごとに異なります。一部拡張パック第1弾のカードが封入 |
第1弾 基本拡張パック
商品名 | 第1弾 基本拡張パック |
発売日 | 2001年12月1日 |
発売価格 | 191円(税別) |
封入枚数 | 1パック5枚入り |
カード総数 | 128種類 |
レアリティ | ●(C) 32種類 |
◆(U) 32種類 | |
★(R) 64種類 |
カードリスト
ポケモンカードの革命
ウラ面の変更
まず注目したいのが、初期から遊んでいたプレイヤーにとっては、とても印象深いカードデザインの変更です。世界共通ウラ面として、ポケモンカード★neo以前のデザインから大きく変わりました。
そう、今でもお馴染みのウラ面は、2001年からこのデザインになったのです。
これによって、以前のカードが使えなくなってしまったかというと、そうではありません。ポケモンカードのルール自体には大きく変更がないため、一緒に混ぜて遊ぶことができます。しかし、ウラ面が異なるわけですから、このようなフォローがありました。
①ポケモンカード専用のデッキシールド発売。
→カードのウラ面が判別できないようにする
②以前のウラ面のカードと、新しいウラ面のカードを30枚ずつにする
→公式大会のレギュレーションで実際に採用された
①の場合は準備するためのコストがかかりますし、②の場合はそれぞれのウラ面が半分ずつとはいえ、メインのポケモンがどちらのウラ面であるかなど、ある程度判別ができてしまいます。
今まで遊んできたプレイヤーにとっては、どちらも納得しづらい内容ではありますが、世界で発売されているカードのウラ面が、これに統一されると考えると、海外のカードを混ぜても遊べるという期待も膨らみます。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.12 P5
しかし、2021年現在の日本と海外のカードのウラ面を見ればわかるように、このカードのウラ面は世界共通になることはありませんでした。どんな事情があったかはわかりませんが、ユーザーに混乱を招く結果を残しただけのウラ面変更となってしまったのは残念です。
オモテ面の変更
新しいシリーズに突入するたび、ブラッシュアップされいるオモテ面のデザインにも、大きな変化がありました。
黄色の大きな枠が特徴的ですよね。そこにはプログラムデータが印刷されており、ゲームボーイアドバンス専用のカードeリーダーに読み込ませると、映像や音声を楽しむことができます。
今でも任天堂のサイトで詳細が見れるので興味がある方はご覧ください。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.13 P7
アナログゲームをデジタルゲームと連動させるという新しい試みや、対人で遊ぶことがメインのカードゲームを、1人でも遊べるという仕組みは革命的でした。
20年後にあたる2021年の今の技術ならば、どんなことができるのでしょう。QRコードやAR(拡張現実)、VR(仮想現実)を組み合わせたものができるかもしれませんね。
しかし、このオモテ面の変更によって気になる点が2つありました。
1つめはTCGとしてのデザイン性です。コードが印刷されているぶん、カードの枠が大きくなり、ポケモンのイラストの大きさ、ステータスが記載されているスペースが小さくなったこと。
2つめは商品価格です。拡張パックの価格は1パック5枚入りで約200円と、以前までの10枚入り約300円だと、カード1枚あたり約10円の値上がりとなりました。
新しい試みを続けるポケモンコンテンツ
ポケモンカードeシリーズからのオモテ面とウラ面の変更は、初期からのユーザーにとっては賛否両論があると思いますが、ポケモンというコンテンツは、常に新しい遊びに挑戦し続けててきたからこそ、今に至るのだと思います。
余談ですが、2002年に発売されたゲームボーイアドバンス用ソフトの「ポケットモンスター ルビー・サファイア」でも、ユーザーの記憶に刻まれる大きな出来事がありました。
それは、前作との互換性です。ポケットモンスターシリーズといえば、過去の作品で育てたポケモンを引き継げることが当たり前になっていますが、このシリーズでは、前作の「ポケットモンスター 金・銀」など、ゲームボーイで発売されたソフトのポケモンを引き継ぐことができませんでした。
「ポケットモンスター ルビー・サファイア」のサイトには下記のように記載されています。
このソフトは、ポケットモンスター赤・緑・青・ピカチュウ・金・銀・クリスタルバージョンとの通信はできません。また、「ポケモンスタジアム」シリーズには対応しておりません。
これは、ゲームボーイアドバンスとのハードウェア的な問題や、ポケモンのステータスの調整(特性や性格の追加)などが理由だと考えられます。
新しいことを追い求めるためには、何事にも代償はありますが、2001~2002年頃がポケモンコンテンツにとっての大きなターニングポイントとなったのではないでしょうか。
ポケモンカードeのイラスト
ポケモンカードeシリーズは、「ポケットモンスター 金・銀」までの251匹が登場しました。これはポケモンカード★neoシリーズと同じ種類のポケモンたちとなります。
個性的なカードイラスト
この拡張パックのカードリストを見たとき、ポケモンたちの個性的な姿が印象的ではありませんでしたか?
シリーズの最初の商品ならば、ポケモン図鑑のように、それぞれのポケモンたちの特徴や全体像が判るようなイラストが多いのですが、ポケモンカードeはそうではありません。
なぜなら、ポケモンカード★neoシリーズまでに登場した、既に皆が知っているポケモンたちだからです。そのためか、ポケモンたちは、動きのある構図やストーリー性を感じる描写の作品も確認できます。
また、この拡張パックで参加しているイラストレーターの総数が多いことも、個性的な印象を受ける要因のひとつといえるでしょう。
例によって、前作のシリーズのポケモンカード★neo第1弾と比較してみました。
カードの種類 | イラストレーターの総数 | ポケモンの総数 | ポケモンのイラストレーター | |
e第1弾 基本拡張パック | 96種 ※ | 25名 | 80種 | 21名 |
neo第1弾 金、銀、新世界へ… | 96種 | 20名 | 73種 | 12名 |
※e第1弾 基本拡張パックの総数は128種だが、同じイラストは合わせて1種として算出
イラストレーターの総数は5名差ですが、ポケモンを描く人の数は倍近く増加しています。5枚入りのパックを開けたら、半数以上はポケモンが出てくるわけですから、様々な描写のイラストを見て、個性的だと感じたのですね。
ちなみに、ポケモンカード★neoの第1弾のイラストは、ゲームフリークでキャラクターデザインを担当されていた、杉森健さん、西田敦子さん、吉田宏信さんの作品がたくさんあります。
杉森健さんの作品
西田敦子さんの作品
吉田宏信さんの作品
ポケモンカード★neo 拡張パック第1弾「金、銀、新世界へ…」のイラスト
「ポケットモンスター 金・銀」で初登場のポケモンの姿をしっかり認識できるように、原作ゲームのキャラクターデザイナーの作品をたくさん採用したのではないでしょうか。
さらに余談ですが、neo第1弾のポケモン73種のうち39種が杉森健さんのイラストです。すごい!
進化ラインを1人のイラストレーターが担当
カードイラストのコンセプトのひとつとして、進化ラインを同じイラストレーターが担当する、というのも印象的でした。特に2進化ポケモンの進化元もイラストレーターが統一されているのは、今までありそうで、なかなか無かったので、とても新鮮な気分になりました。
西田敦子さんの作品。花や星に囲まれて、どのイラストもかわいらしい。
楠部文さんの作品。カケアミでの表現が重厚感と哀愁を感じさせる。
ポケモンカードオリジナルの舞台へ突入
今回紹介している第1弾は、特定の場所がテーマにななっていませんが、第2弾以降はポケモンカードオリジナルの大陸を巡る冒険が始まります。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.15 P2,P3
今回紹介している第1弾は、この大陸への冒険の準備といったところでしょうか。地図を見ているだけでもワクワクしてきますね。いったいどんなポケモンと出会えるのでしょう。
ポケモンカードeのゲームデザイン
基本ルールは変わらず、いくつかのルール追加がありました。また、ポケモンのステータス調整もされています。これらによってゲーム環境に変化が起こったのです。
特殊能力、サポーター、やけど
特殊能力
今までのシリーズで「特殊能力」と呼ばれていた能力が細分化されました。これはポケモンが持っているワザ以外の能力です。今でいう「特性」と同じようなものです。
この「特殊能力」のうち、プレイヤーの任意で使うものは「ポケパワー」、自動的にはたらくものは「ポケボディー」と分類されました。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.13 P5
サポーター
トレーナーカードに、サポーターという分類が加わりました。主にドロー系のカードがサポーターに分類されています。
これによってゲームの進行は今までと比べてゆっくりになった印象です。…というよりもサポーターのルールが無い状態のゲームは、1回の手番が長く、カードを引けすぎたので、健全なゲームスピードになったと感じられます。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.13 P5
他にも、通常のトレーナーカードよりも強力な効果を発揮するものもサポーターに分類されています。
やけど
特殊状態の「やけど」が加わったのも、この頃からでした。2021年現在の「やけど」の効果とは異なり、コインの結果によってダメカンをのせるかが決まります。
出典:ポケモンカードトレーナーズVol.13 P5
サポーター当たらない問題
カードを集めていると、あるカードが出にくいことに気づきます。それはサポーターカードです。
山札を引いたり、特定のカードを持ってくる強力な効果は、ポケモンカードには無くてはならない存在です。サポーター無しのデッキで対戦するとわかりますが、後続のポケモンが育てることが困難になり、手札も尽きてしまいます。
サポーターとは、ポケモンカードのゲーム環境において重要な役割を果たしているのですが、拡張パックの封入率は下記のようになっており、手に入れることが困難でした。
拡張パック1個あたりの封入率
●(C) | 3枚 |
◆(U) | 1枚 |
★(R) | 1枚 |
サポーターのカードのレアリティは、すべて◆(U)です。
しかし、★(R)と◆(U)の封入率が同じため、◆(U)も実質レアカードと同等に当たりにくいと言えます。さらに、◆(U)のカード全32種の中で、ドローやサーチに関わるものは5枚のみ。
これらを必要な枚数分集めるというのが、どれだけ大変だったかというのは、当時のプレイヤーならば、誰でも知っているのではないでしょうか。
ちなみに、スターターパックにサポーターは入っていません。
サポーターのルール自体は、ゲーム環境の改善に繋がっていると感じますが、そもそもそれが当たりにくかったら、資産による勝敗差が顕著になってしまうのではないでしょうか。この封入率にはどんな意図があったのか謎です。
ポケモンのステータス
進化前のたねポケモンとベイビィポケモン
HPや、にげるためのエネルギーが均等化されました。2進化や1進化の元となるたねポケモンのHP40または50が基本で、ベイビィポケモンのHPは30で変わりません。にげるためのエネルギーも見直されていて、すぐに場に出せるポケモンには、にげるが0のポケモンは誰もいません。
eシリーズのハネッコ
neoシリーズのハネッコ
neoのハネッコは、HPが高く、にげるために必要なエネルギーが無い
eシリーズのブビィ
neoシリーズのブビィ
にげるためのエネルギーの調整によって、ベイビィポケモンは採用するデッキを選ぶようになった
また、2進化や1進化の元となるたねポケモンたちのワザを見てみると、どのポケモンもワザに必要なエネルギーは、最大2個までです。出せるダメージも調整されていて「1個のエネルギーで20ダメージ」のような尖ったポケモンはいません。
ワザの内容も特殊状態か単純なダメージしかなく、フラットなステータスに調整されています。
特殊状態やコインを使うワザで違いはあるが、似たようなステータス
メインのワザ
ミュウツーなどの進化しないたねポケモンや、進化ポケモンのメインワザに注目してみると、必要なエネルギーは、ほとんどが3個以上ということに気づくでしょう。
また、エネルギー3個ならば、40くらいのダメージが出せますが、50以上のダメージを出せる場合は、デメリットや不確定要素が伴うように調整されています。
1進化ポケモンのメインワザの例に確認してみましょう。
40ダメージでデメリット無し
50ダメージ+デメリット効果
70ダメージだが不確定
これらの調整によって、ゲームバランスは改善されたと思われますが、ポケモン自体が持つ個性が薄まってしまったようにも感じられます。
タイプ相性による戦略性
このシリーズからはメインワザでさえ、必要なエネルギーに無色が含まれているため、他のタイプとの組み合わせがしやすいワザ構成になっています。
例えば、自分のメインの炎ポケモンが、相手の水ポケモンに攻められた場合、どのように対策するのが良いでしょう?答えは水タイプの弱点を突ける雷ポケモンで対抗する、というのが最も簡単な例だと思います。
今までは、その炎ポケモンがワザを使う場合に、必要なエネルギーは、すべて炎エネルギーというデザインが多かっため、他のタイプのポケモンを入れることが困難でした。
しかし、このシリーズからは、その色縛りが緩和されたため、いわゆる多色デッキも組みやすくなり、タイプ相性による戦略が、ますます面白くなってきたのです。
デッキバリエーション
ポケモンカードeシリーズのみで構築したデッキでは、コンボだけでなくタイプ相性を意識したものも多く登場しました。
ゲンガー+ダグトリオ
「マグニチュード」で受けたダメージを「カオスムーブ」で利用
ゲンガー+オーダイル
「くいちぎる」の大ダメージを狙った一撃必殺のコンボデッキ
ゴローニャ+エレブー
「エネリフレクト」を使いながら《ゴローニャ》を育成。弱点もカバー!
バクフーン+キュウコン
「ヒートアップ」で「よみのほのお」を連射
メガニウム+ラフレシア
草1個の「ねむりごな」とポケパワー「どくかふん」でじわじわ攻撃する
まとめ
ポケモンカードeは、見た目からゲームデザインに至るまで、がらりと印象が変わった新しいポケモンカードでした。様々な試みが盛り込まれており、ポケモンカードにとっては、変革のシリーズだったといえます。
現在もお馴染みのカードのウラ面は、2001年のこの年に変更され、世界共通デザインを目指した証です。
オモテ面は、ポケモンカード史でも類を見ない、eコードをゲームボーイアドバンスに読み込ませるという、対戦以外の遊びが提供されました。
カードのデザインが変わっても、ポケモンカードの基本的なルールに変更はありません。このシリーズのゲームデザインは、ポケモンの個性よりも、ゲームバランスが重視されていました。
また、エネルギーをつけるポケモンの重要性や、タイプ相性の読み合いなど、ポケモンカードをより戦略的に楽しむためのゲーム性になっていたのではないでしょうか。
新しいシリーズに突入するたび、ポケモンカードはブラッシュアップされていますが、皆さんはこのシリーズをどう感じたでしょうか。様々な時代を経て、今のポケモンカードはできているのです。
今回はここまでです。それでは皆さん、良いポケモンカードライフを。